未来井戸

未来井戸

The Well for the future

2024 年3 月
竹、鉄


百年後芸術祭-内房総アートフェス-
作家:東弘一郎


作家は西上総地方の小櫃川、小糸川流域で開発、発展した井戸掘り技術である「上総掘り」のダイナミズムに着目し、それを自身を代表する大型の金属作品と重ね合わせて表現した。作品は実際に掘削機能を兼ね備え、訪れる人々が自らの手で作品を体験すると同時に穴が掘り進められていくこととなる。会期が進むにつれて穴の深さは増していき、伝承技術の新たな歴史となって人々の記憶に刻まれる。

井戸掘り装置の仮設足場をモチーフにした金属製のオブジェです。竹のばねのような反動を利用して、数百m 先の地下まで繰り返し鉄製の杭を落とし続けることで掘削する技術を参照し、「実際に穴を掘ることができる機能」と、地域の方が一目で「上総掘り」であると伝わる印象を目指すことが求められました。

本来の仮設足場は、材をずらしながら交差させているのですが、本作品では金属による置き換えをしており、構造も再解釈し設計しました。垂直材は100 角パイプ、水平材はH形鋼、斜材はパイプブレースを使用しており、材の交差点ではガセットプレートで切断されていても、同一芯では材の連続性が感じられるような印象をデザインしました。